The Winner of Three Times in a Row 伊藤雄大プロ インタビュー

「年間5勝の完全優勝、そして三連覇達成、おめでとうございます!」
ありがとうございます。
「一昨年、昨年と比べて、今年はどんなシーズンでしたか?」

一昨年初めて総合優勝できたときは、まだまだ右も左も分かりませんでした。得意としていた技もボトムの釣りが中心で、何とかしのいで勝つ、という感じでした。

そして去年は一旦ボトムの釣りから離れて、横方向の王道の釣りを自分の中で確立しようという気持ちがありました。結果として昨シーズンはとても苦しいシーズンになったんですけど、それでも何とか勝つことができました。

今年は年初から「三連覇、年間五勝」を目標に掲げて、どうしたらそれを達成できるかを毎日考えていました。そこで出た結論は、「オールラウンドなスタイルを確立すること」。年間1〜2勝を目標とするなら、自分の得意なスタイルの釣りのみに特化し、状況が自分に合うワンチャンスを待って勝つ、というのが最も効率的な戦い方になります。しかし、年間5勝するためには、あらゆる状況に柔軟に対応し、苦しい状況をも打開し、チャンスを待つのではなく、自らチャンスを迎えに行く。そんな釣りが要求されると私は考えました。

具体的には、2011〜12年シーズンで主軸となった、「王道のスプーン/クランクによる巻きの釣り」、「シビアな状況に特化した各種ボトムの釣り」というテクニックの完成度を高めると同時に、自らの課題としていた、「トップウォーター、ミノーなどのリアクション」、「マイクロスプーンによるフィネススプーニング」を戦略に組み込み、高次元でまとめることを目標としました。

そして初戦から勝てて出だしは順調だったんですけども、その後なかなか勝てない時期もありました。ただ、そんな時でも自分なりに課題を見つけて、それをしっかり克服し、様々なタイプの管理釣り場でその時々の状況に応じた作戦を立てて試合を重ねていきました。五勝の内容はスプーンの巻き、クランク、ボトムと、それぞれのメソッドで勝てたので、「オールラウンドなスタイルを確立する」という目標を実現できた結果に対しては、本当に嬉しく思っています。

「三連覇を達成した上で、今後の抱負をお聞かせください」

もちろん四連覇、五連覇と自分の持つ記録を伸ばしていきたいと思います。管理釣り場ドットコムのエリアトーナメントだけではなく、それ以外のトーナメントにも積極的に参加して、まだまだ手にしていないタイトルがたくさんありますので、それらをひとつひとつ自分のものにしていければと思っています。

あとは技術的な部分で、少しでもミスをなくしたいです。やっぱり今年もミスが出てしまう場面がどうしてもありました。釣りは運も関わってくる競技だとは思いますが、だからこそ、自分ができることはやり残すことなくやり切って、その上で試合に臨むという姿勢を崩さずに今後もやっていきたいと思います。

「応援してくれた皆様にメッセージをお願いします」
試合で応援してくれる方、新しいタックルを楽しみに待ってくれている方、そういう人たちのおかげで高いモチベーションを保ったままシーズンを戦い抜くことができました。本当に感謝しています。これからもいろんな方に喜んでもらえるように自分のできる釣り、そして自分のできるタックル開発を進めていきたいと思いますので、これからも皆さんの応援よろしくお願いいたします。

伊藤 雄大  Yudai Ito

彼のスタイルを一言で表すとすれば『緻密』。レンジの刻み方やスプーンセレクト、タックルバランスなど、すべて実践から導かれた彼の計算のもとに緻密にゲームを組み立てていく。瞬時にコンディションを見極め、小刻みに的を絞りこんでいく姿はまるで精密機械のよう。

 

The track of 5 victories 全五勝の軌跡

第1戦 1/26(土) 東山湖フィッシングエリア(静岡)

朝は魚の動きが悪かったが後半は動きがよくなってきたので、底から少し上の層をディープクランクで攻略。

第7戦 4/14(日) 鬼怒川フィッシングエリア(栃木)

前日プラ通りの試合展開。決勝はディープクランクで上〜中層のレンジを変えて攻め、スレたらボトムの釣りを繰り返した。

第15戦 6/30(日) ハーブの里フィッシングエリア(長野)

予選はクランク系をメインに。決勝はボトムの縦方向の動きで釣っていき、スレてきたら思い切って表層狙いへチェンジ。

第18戦 7/21(日) 足柄キャスティングエリア(神奈川)

決勝戦(30分)は1g以下の軽量スプーンで上ずった魚狙い。水かみの具合を見ながらスライドを調整。

第21戦 9/22(日) 平谷湖フィッシングスポット(長野)

決勝戦は放流残り狙い。やや深目を鱒玄人ウィーパー等で入り、細身のクランク系に繋げた。

  写真提供:管理釣り場.com

Ito's tackles 今シーズン活躍したタックル

TROUT PROGRAM DAYBREAK

<メタルバイブレーション、トップウォーター、ミノーなど、繊細な操作を必要とする釣り>
ロッド:デイブレイクDB61H(プロト)
ライン:PE0.175号 リーダー:フロロ4lb.

今シーズン活躍したタックルの筆頭格が、僕自身がずっとテストを重ねてきた「デイブレイク(プロト)」。
実戦の中で使ってきましたけれども、特にメタルバイブレーション「トラウトZX」の釣り、ルアーに細かな操作を加えるトップウォーターの釣りなど、こちらから意図的にルアーを操作して釣っていきたい釣りの時には、「デイブレイク」が非常に大きな戦力になってくれました。

TROUT PROGRAM SPIKE ARROW

<手返し重視の放流、近距離のクランク>
ロッド:スパイクアロー60
ライン:ナイロン3.5lb.

<ボトムクランキング、ボトムクルーズなど、ボトムレンジの横の釣り>
ロッド:スパイクアロー60
ライン:PE0.175号 リーダー:フロロ4lb.

<放流勝負の食わせ重視、1.5g程度の中軽量スプーン、クランクの遠投>
ロッド:スパイクアロー62L
ライン:ナイロン3lb.

今年KRコンセプトガイドにマイナーチェンジした「スパイクアロー」は、今までよりも感度が上がって使いやすくななったことで、得意のクランクベイトの釣り、それから放流勝負などでも、その感度が非常に武器になってくれました。

TROUT PROGRAM AMBITIOUS

<1.5g以下の軽量スプーンの巻き、ボトムの釣り>
ロッド:アンビシャス61L
ライン:エステル1.4lb.

シーズン途中からタックルに加えたのが「アンビシャス」。僕はマイクロスプーンの釣りに苦手意識を持っていたんですけど、「アンビシャス」はこの釣りが非常にやりやすいので、自分の弱点をこの竿に補ってもらいました。マイクロスプーン向きの展開になってもしのいでいって、最終的に自分の得意な釣りに繋げていけたことが、成績の安定に繋がったと思っています。

どんなタックルにもいえることですが、僕が特に気を使っているのが、ロッドとラインのセッティング。
感度、強度、クッション性、操作性など、状況によってタックルに求められる要素は様々です。
トラウトプログラムシリーズのスパイクアロー60/62L、アンビシャス61L、そしてデイブレイク61(プロト)というロッドに合わせて、ナイロン、フロロ、エステル、PEの各種ラインを組み合わせ、その時々で必要となるセッティングを出していきました。

タックルセッティングは試合のみならず、普段の釣り場でも、より簡単に、より多くの魚と出合うための重要な部分ですので、皆様もぜひ自分に合ったセッティングを見つけていただければと思います。